無痛大腸内視鏡
無麻酔で無痛

 『大腸内視鏡は痛い』そのような話をよく聞きます。大腸ガンが増えつつある現在、一人でも多くの人に検査を受けていただきたい。そう思って無痛内視鏡検査を開発しました。千葉西総合病院で水浸法の無痛大腸内視鏡の検査後アンケートで「かなり痛い」と「非常にいたい」はあわせて20人に1人しかいませんでした

 今までの無痛法は、麻酔を使って寝かせる方法でした。麻酔を使って寝かせると押しても痛がらないため強く押しすぎて穿孔事故を起こす可能性がありますし、麻酔の量が増えると麻酔事故の可能性があります。そこで無麻酔でも痛くない方法の開発が急務でした。
 当院院長の後藤は、無麻酔・無苦痛の新しい方法を完成し、1997年にフットスイッチ式電動注水ポンプを開発し特許をとり、「水浸法」と名付けました。多い日は1日25人の大腸内視鏡検査を行い、今までに40,000件以上、無事故(穿孔事故なし)の実績です。水浸法はなぜ穿孔しないのでしょうか?それは無麻酔でも痛くないからです。
 以来水浸法の普及に努め、現在までに50人以上の内視鏡医師を育ててきました。

痛くないわけ
実例

1.スコープが濡れていると乾いているときより滑りが良く、(摩擦)は半分です。
2.水中ではスコープに浮力が働き、(スコープの重さ)が半分に軽くなります。
3.(スコープを押す力)=(摩擦)×(スコープの重さ)で計算されるので、水浸法では空気法の1/4の力でスコープが挿入されます。また、スコープを強く押さないのでスコープがねじれることもありません。

腸はふくらみすぎたり、引き伸ばされたり、ねじれたりするときに痛みますが、水浸法ではふくらませず、引き伸ばさず、ねじらないので 痛くないのです。
そうめん流しはそうめんが水に浮き、抵抗が少なくなって緩やかな勾配でも抵抗無くするすると流れていきます。水浸法はそうめん流しのようにスコープがするすると抵抗無く挿入されるので痛くないのです。

大腸内視鏡挿入時間(Colonoscopy insertion time)

 大腸内視鏡の挿入時間は、痛みのなさや深部到達率とともに内視鏡技術の一つの目安として使われます。2012年に私が行った大腸内視鏡の挿入時間に関する統計です。

総症例(case)

119例

深部到達率(rate)

100%

合計時間(total)

9:03:25

最小時間(min.)

01:27

最大時間(max.)

18:56

中央値(median)

03:58

平均時間(average)

04:33

標準偏差(std. dev)

02:31

平均年齢(ave age)

61.5

年齢の標準偏差(std. dev age)

12.8

男女比(sex ratio)

1.3

 水浸法の挿入時間です。ほとんど10分以内で、ばらつきが少ないのが特徴です。なぜ水浸法がばらつきが少ないかというと初めから丁寧に短縮し、ややこしいループを作らないからです。だから難しい人も痛くなく挿入できるのです。